アルミへの低温熱処理メッキで表面硬度向上

アルミ合金を活かす!低温熱処理無電解ニッケルメッキの魅力

アルミ合金は、その軽さから多くの分野で利用されています。しかし、多くのアルミは柔らかいという側面があります。そこで注目したいのが「低温熱処理無電解ニッケルメッキ」です。

アルミ合金の弱点を克服

無電解ニッケルメッキは熱処理を施すことで硬度を大幅に向上させることができます。しかし、従来の無電解ニッケルメッキの熱処理温度(300~400℃)は、アルミ合金の焼きなまし温度に相当するため、アルミ合金自体が柔らかくなる可能性がありました。また、一般的に使用されるアルミニウム合金の耐熱温度は、約200℃~300℃程度と言われています。

当社の低温熱処理無電解ニッケルメッキは、約200℃という低い温度で熱処理を行います。これにより、アルミ合金の特性を維持したまま表面硬度の大幅向上させます。低温熱処理無電解ニッケルはメッキ直後では700Hv程度の硬度があります。低温熱処理(200℃)を施すことで約800Hvまで硬度を向上させることができます。(硬質アルマイトは約500Hv)

優れた耐摩耗性と摩擦係数

低温熱処理無電解ニッケルメッキは、ただ硬いだけでなく、優れた耐摩耗性も持ち合わせています。摩擦係数は通常の無電解ニッケルの約2/3と低いため、摺動部や回転部品など、摩耗しやすい部分の製品寿命を大幅に延ばすことができます。

焼き入れ鋼への適用も可能

従来の無電解ニッケルメッキの熱処理温度 (300~400℃) は、焼き入れ鋼にとって「低温焼き戻し」の温度帯に該当し、場合によっては鋼が脆くなる「低温焼戻脆性」という現象を引き起こす可能性がありました。

しかし、低温熱処理無電解ニッケルメッキは、この焼き戻し温度よりも低い温度で熱処理を行うため、焼き入れ鋼の硬度を維持しつつ、防錆と表面硬度を向上させることが可能です。

まとめ

低温熱処理無電解ニッケルメッキは、アルミ合金だけでなく、焼き入れ鋼など、メッキ可能な金属であれば適用することができます。 低温熱処理無電解ニッケルメッキは様々な素材の課題を解決し、製品の性能向上に貢献できる技術です。ご興味をお持ちいただけましたら、お気軽に下記リンクからメッキ.comにお問い合わせください。

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