三価クロメート処理のJIS記号が無い その表記、注意が必要です

JIS規格とメッキ

JIS規格は統一性のあるルールとして利用されています。

JISは2019年に日本工業規格から日本産業規格という名前に変わっています。

設計者の方が図面を描く際や、発注者の方がメッキ処理を依頼する際にJIS記号に則って表記、依頼されることがあると思います。

しかしながら、メッキには多種多様な技術やその組み合わせがあり、JISで規定された記号だけでは表せないことがままあります。その代表例がクロメート処理です。

JIS規格とクロメート処理

現在、クロメート処理というと六価クロメートと三価クロメートの2種類の処理があります。

JIS規格では六価クロメートの表記は『JIS H 8625 電気亜鉛めっき及び電気カドミウムめっき上のクロメート皮膜』にて定められているのに対して、三価クロメートにはJIS規格が無く、JIS記号がありません。

例えば、亜鉛メッキを依頼したい場合、

JIS記号ではEp-Fe/Zn 5/CM1 という表記になります。

これは電気メッキ、鉄母材、亜鉛メッキ5μm、光沢クロメートという意味になり、この光沢クロメートは六価クロメートのことを意味しています。六価クロメートは六価クロムを含有しており、RoHS指令などの環境規制において、六価クロムは規制対象となっている物質です。

JIS記号表記により、意図せず六価クロメートの指示となってしまっている場合には、大きなトラブルに繋がってしまいます。

では、三価クロメート処理の場合にはどのように表記すればよいのでしょか。

三価クロメート処理の依頼方法

先述の通り、三価クロメート処理はJIS記号がありません。

ですから、記号で表記せずにキッチリと言葉で記載する必要があります。

例えば、先程の例ですとEp-Fe/Zn 5/CM1(三価クロメート処理)、或いはEp-Fe/Zn 5/三価クロメート処理(白)などと表記しておけば間違いが起きません。

まとめ

六価クロメートはJIS規格がありますが、三価クロメートにはJIS規格が無く、JIS記号がありません。齟齬が生じないようにする為にも、三価クロメートが必要な場合には、言葉で明記することが一番確実な方法です。

メッキ.comでは、図面や発注の際にJIS表記されている場合には、間違いが起きないように確認をさせていただいております。

メッキ.comでは亜鉛メッキ、三価クロメートを量産処理しております。詳しくはメッキ.comまでお問い合わせ下さい。

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