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ウィスカが発生する原因は現在明確に解明されていません。スズめっき後の保管状況、又は、使用される環境などにより、めっき皮膜から自然発生する単結晶で「ひげ状」に成長したものをウィスカと言います。

ウィスカは肉眼でほぼ見ることができず、、人間の毛髪の10~100倍も細いものがひげ状に伸びることで電子部品間をつなげてしまうことがあります。この伸びたウィスカが本来と違う電気回路として電気を導通させることで、短絡を起こし電気機器の故障となっていることが多いと言われています。

ウィスカの発生メカニズムで特に多いとされている原因の一つとして、金属間化合物によるウィスカの発生が挙げられます。

スズめっきの下地に銅めっきを施したものを室温放置する事で、銅めっきとスズめっきの層間に銅が少しずつ拡散し始め、銅とスズの金属間化合物が形成されます。形成された化合物はスズめっき被膜に圧縮応力を掛けることになり、更に放置する事で銅とスズの金属間化合物は成長し圧縮応力に耐えられなくなったスズめっき被膜は圧縮応力を緩和させるためにスズめっき被膜の表面に飛び出すのです。

 

○スズめっき後にウィスカが発生しやすい要因として以下が挙げられます。

①銅・銅合金、亜鉛素地上にスズめっきを施したもの

②スズめっき後、高温・多湿の場所に放置させたもの

③スズめっきの膜厚が薄いもの(約3.0μm以下)

④スズめっきや素地に残留応力が残ったもの

 

○ウィスカの抑制に効果があると言われている対策として、以下が挙げれます。

①    銅・銅合金の下地に銅めっきを施し、更にニッケルめっきを施したもの

②    スズめっき後にリフロー処理(溶融加熱処理)を行うか、熱処理にて150~180℃で

約1時間以上熱処理を施したもの

③    スズめっき被膜の膜厚を厚くしたもの(約3.0μm以上)

④    鉛フリーはんだめっきを施したもの

 

但し、上記対策を行ったとしてもウィスカは完全に抑制できないことがあり、それだけウィスカはメッキを取り扱う技術者を悩ましている現象と言えます。