注目されるアルミニウムへのメッキ種類と軽量化

アルミ材料

アルミニウムへのメッキの概要

 アルミニウムへのメッキは、アルミニウム材に他の金属の薄膜を付着させる処理のことであり、アルミニウムの特性を活かしたさまざまな用途で利用されています。

アルミニウムへのメッキの目的

 アルミニウムへのメッキの目的は、主に以下のようなものがあります。

・外観強化

・硬度の上昇 

・導電信頼性の向上

アルミニウムへのメッキが選ばれる理由

 アルミニウムへのメッキが選ばれる理由には、以下のような特徴があります。

 アルミニウムは軽量でありながら強度があります。そのため、軽量化が求められる自動車産業や航空機産業などで広く利用されています。強度のあるアルミニウムですが、アルミニウム自体は比較的柔らかく、傷つきやすく、摩耗し易い金属です。メッキを施すことにより硬度を高くすることが出来ます。

 アルミニウムへのメッキによって、幅広いアプリケーションへの適応が可能となり、更なる軽量化を実現することができます。また、アルミニウムは特有の銀色系の金属であり、研磨によって鏡面に近い表面状態にすることが出来ます。しかしながら、アルミニウムの表面を鏡面にする為には多くの工数が掛かかったり、鏡面にしても柔らかい金属の為に直ぐに傷ついたりしてしまいます。メッキではアルミニウム表面を鏡面にしつつ、硬度も向上させることができます。

 さらに、アルミニウムの電気伝導性を改善するためにもメッキが施されます。アルミニウムは電気伝導性に優れています。しかしながら、アルミニウム表面は強固な酸化被膜に覆われており、接触部での抵抗は非常に高く、通電不良を引き起こすこともあります。メッキではアルミニウムの酸化被膜を取り払い、導電性の高いメッキを施すことにより、導電信頼性を高めることが出来ます。エレクトロニクスやエネルギー分野では、アルミニウムへのメッキによって、その特性を活かした導電材として利用されています。

アルミニウムへのメッキの種類

 アルミニウムへのメッキには、いくつかの種類があります。主な種類としては、錫メッキ、ニッケルメッキ、金メッキ、銀メッキが挙げられます。

錫メッキ

 錫メッキはアルミニウムに錫をめっきすることで実現されます。スズメッキは融点が低く、電気伝導性にも優れた特徴があります。このため、自動車の電装部品や通信機部品など幅広く使用されています。

ニッケルメッキ

 ニッケルメッキはアルミニウム表面にニッケルをめっきすることにより実現されます。ニッケルメッキは硬度が高く、外観も無光沢、半光沢、光沢、鏡面など光沢度合いの幅も広いメッキです。

 また、無電解ニッケルメッキを施すことにより、より硬度や耐食性の高い製品にすることが出来ます。

金メッキ

 金メッキは、アルミニウム表面に金をめっきすることで実現されます。金は耐食性に優れており、高い導電性も持っています。そのため、金メッキはエレクトロニクス分野での利用が多いです。

銀メッキ

 銀メッキは、アルミニウム表面に銀をめっきすることで実現されます。銀は金属の中で一番高い電気伝導性を有する金属とされています。銀メッキは電子部品や接点部品などで使用され、高い信頼性を持つことができます。

アルミニウムへのメッキによる軽量化の実現

 アルミニウムへのメッキは、その軽量性と優れた導電性を活かし、様々な産業分野で軽量化を実現するために利用されています。

銅からアルミへの置き換え

 昨今、銅材の価格高騰によって、より安価なアルミニウムへの置き換えが進んでおり、アルミニウムへのメッキは、銅材からアルミ材への置き換えにおいて重要な役割を果たしています。銅材に比べてアルミ材は軽量でありながらも同じ導電性能を持っているため、導電性を長期維持するためにアルミニウムへのメッキが採用されています。これにより、電子機器や電気設備の重量を軽減することができます。

 アルミニウムによる軽量化は自動車産業での注目が高まっています。自動車では大量に鉄材や銅材が使用されるため軽量化が求められています。アルミニウムへのメッキによって、鉄材や銅材からアルミ線への置き換えが実現され、自動車の燃費向上や車両の軽量化が促進されることが期待されます。

新材料の採入れによる軽量化

 アルミニウムへのメッキによる軽量化は、新たな材料と組み合わせることでさらに進化しています。例えば、リチウムイオン電池などの電極ではアルミ材と銅材が利用されますが、電気を流すために、従来はメッキ付きの銅材のバスバーに繋がれますが、現在ではメッキを施したアルミニウムのバスバーも利用されています。また、アルミ・銅複合材料も登場し、アルミニウムの軽量性と銅材の導電信頼性を組み合わせることで、新たなイノベーションを起こすきっかけにもなります。このような新材料の採用によって、製品の軽量化と耐久性の向上を同時に実現することができます。単独では足りない性能も、他の材料と組み合わせた複合材料とすることで、必要十分な性能を引き出すことが出来ます。

 メッキ.comでは複合材へのメッキ処理方法についても研究しています。例えば、アルミニウム・銅複合材へメッキを施すことが出来ます。

アルミニウムへのメッキに関する応用例

自動車産業での利用

 アルミニウムへのメッキは、自動車産業においてさまざまな箇所で利用されています。例えば、車体部品や車内装備品などのアルミニウム製パーツには、無電解ニッケルメッキが施されています。

 自動車の電装部品や通信機部品などは錫めっきが使用されています。また、錫めっきを施したアルミニウムは、はんだ付けが容易であるため、製造工程の効率化や軽量化にも貢献しています。

 自動車産業では、アルミニウムへのメッキを活用することで、製品の耐久性や品質の向上、軽量化を実現しています。さらに、アルミニウムの特性を最大限に活かすことで、燃費改善やエコロジーな車両の実現にも寄与しています。

電子部品産業での利用

 アルミニウムへのメッキは、電子部品産業においても幅広く利用されています。電子機器や通信機器などのアルミニウムパーツには、耐摩耗性や導電性、耐食性を高めるためにさまざまなメッキが施されています。

 特に、アルミニウム導体には錫めっきが施されています。錫めっきはアルミニウム表面の酸化被膜を取り除いて高い電気伝導性を維持することができます。これにより、電子機器や通信機器の性能向上や信頼性の向上が図られています。

 また、金めっきや銀めっきも電子部品産業で利用されています。金めっきや銀めっきは、アルミニウム部品の表面を保護し、高い導電性を持つため、信号の伝送速度を向上させる役割があります。

 アルミニウムへのメッキを利用することで、電子部品の信頼性や性能を向上させるだけでなく、軽量化や省エネルギー化も実現しています。これにより、電子機器の小型化や高機能化、環境負荷の削減が進んでいます。

まとめ

アルミニウムへのメッキはスズメッキやニッケルメッキ、無電解ニッケルメッキ、金メッキや銀メッキ以外にも様々なメッキを施すことが可能です。

昨今では銅材の価格高騰によって、より安価なアルミニウムへの置き換えが進んでおり、アルミニウムへのメッキ問い合わせが増加しております。

アルミニウムへのメッキについてはメッキ.comまでお問い合わせください。

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