「均一なメッキ」の一言が、不必要なコスト高を生む⁉
お客様がメッキ業者に処理依頼されるにあたって、製品全面に均一なメッキが欲しい(部分メッキを除く)と思われるのは至極当然のことと思います。
しかしながら、「均一なメッキ」という一言だけで処理を依頼してしまうと、不必要なコストが掛かってしまうかもしれません。
均一なメッキの認識のズレ
「均一なメッキ」という言葉が、お客様とメッキ業者の認識にズレを生じさせることがあります。
メッキ業者は「均一なメッキ」が欲しいと言われると、直ぐに無電解メッキで処理する必要があると考えてしまいます。
メッキ業者は取り扱っているメッキの特性を理解している為、メッキ技術の中で均一にメッキできる手法を選択した結果、無電解メッキという答えになってしまいます。
無電解メッキは化学反応による力を利用してメッキする手法であり、金属表面全体で均一に反応が起きる為、均一なメッキを施すことが出来ます。一方で、電解メッキは電気の力を利用してメッキする手法であり、製品に電気を流します。製品部位によって電気の流れ方に違いがあり、電気の流れやすい所に多くのメッキが成膜します。
無電解メッキは電解メッキに比べて、一般的にコスト高になってしまいます。
無電解メッキと電解メッキの膜厚バラツキの違い
では実際に、膜厚にどれだけの差が生まれるのか気になると思います。
無電解メッキの場合、1つの製品の中でどこを測定しても膜厚のバラツキは1㎛ 程度です。
一方、電解メッキの場合には1つの製品の中での膜厚バラツキは、狙い膜厚や製品サイズ、形状に依存するところも大きく一概には言えませんが、仮に数㎛狙いのメッキの場合、バラツキ大きくても十数㎛ 程度になるのではないかと思われます。
これらを図面表記で良く利用されているmm表記に直すと、無電解メッキでは0.001mm、電解メッキでは0.01mmのバラツキということになります。
お客様のご要望として0.01mmのバラツキは、均一なメッキに当てはまらないでしょか。この数値は機械加工の誤差レベルではないでしょうか。
十分でなければ、無電解メッキの選択が必要です。しかし、これを十分に均一なメッキと思われるなら、電解メッキの方を選択されることをオススメします。なぜなら、一般的に電解メッキの方が安価に処理することが可能だからです。
まとめ
言葉の伝わり方一つで大幅なコスト高に繋がることがあります。
過剰な品質になってしまい、不必要なコスト高に繋がってしまいます。
電解メッキでは狙い膜厚や製品サイズ、形状によってはメッキ膜厚に著しい差が出来てしまう場合がありますが、
許容範囲であれば、電解メッキの方がコスト面では優位です。
しかしながら、無電解メッキには電解メッキには無い特性などがありますので、製品性能とコストにより選択することが重要です。
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パイプなどの筒状形状製品への電気メッキでは、筒内面側のメッキが極端に薄くなる傾向があります。ですが、筒内面にも十分なメッキ膜厚を施すことのできる方法があります。