「メッキの熱」で材料は傷む?大切な製品を守るための温度管理と素材への影響

メッキの処理温度と素材への影響
メッキは高温で処理するというイメージをお持ちかもしれませんが、一般的な電気メッキは40℃〜60℃という、お風呂の温度より少し高い程度で行われます。中には20℃程度で処理するメッキもあります。その為、精密部品や熱に弱い素材であっても材料の性質(硬度や寸法精度)を変えることなく表面処理が可能です。また、メッキ加工は溶接やレーザー加工とは異なり、処理液に製品を丸ごと浸漬して処理する方法が一般的です。ですから、一部だけが熱くなり、局所的な膨張による「ひずみ」や「割れ」が発生しにくい処理です。
素材の耐熱温度とメッキ処理温度
| 素材 | 一般的な変質・軟化温度 | 代表的なメッキ処理温度 | 安全マージン |
| 鉄・鋼材 | 約450℃〜700℃ (変態点) | 40℃〜60℃ (電気めっき) | 極めて安全 |
| アルミニウム | 約150℃〜200℃ (強度低下開始) | 20℃〜50℃ | 十分な余裕あり |
| 銅・真鍮 | 約200℃〜300℃ (軟化) | 20℃〜60℃ | 問題なし |
| エンジニアリングプラスチック | 約100℃〜250℃ (熱変形温度) | 40℃〜90℃ | 適切な選定で安全 |
このように、メッキ処理温度は材料が影響を受ける温度よりも低い温度で処理される為、材料への影響はほぼありません。ですが、注意しなければならないメッキもあります。
素材への影響を注意しなければならないメッキ
水溶液を使用した一般的な電気メッキであれば、上記の表のように何ら問題ありません。しかし、メッキの中でも溶融メッキと呼ばれるものについては注意が必要です。溶融メッキは溶けた金属の中に製品を浸漬することでメッキを施す手法です。溶かした金属を使用するため、その温度は500℃~700℃程度になります。
また、直接のメッキ工程ではありませんが、製品加工工程の一部としてベーキングや熱処理と呼ばれる処理工程がある場合には、これらの熱影響についても考える必要があります。
水溶液を使用して量産されているメッキ加工で温度が高いメッキ処理は無電解ニッケルメッキです。無電解ニッケルメッキは約90℃で処理されます。この温度は金属材料にとっては特に影響ないレベルの温度です。しかし、樹脂材料にとっては影響のあるものが考えられます。ですから、樹脂材へのメッキでは比較的低温の無電解ニッケルメッキや無電解銅メッキを施した後、電気メッキを施すというプロセスが多く行われています。
| メッキの種類 | 一般的な最高温度 | 代表的なメッキ金属 |
| 電気メッキ | 〜65℃ | 金、銀、銅、ニッケル、スズ、亜鉛など多くのメッキ |
| 無電解メッキ | 〜95℃ | ニッケル |
| 溶融亜鉛メッキ | 〜480℃ | 亜鉛 |
| 溶融アルミメッキ | 〜700℃ | アルミ |
まとめ
ほとんどのメッキでは熱による影響はありません。しかしながら、溶融メッキについては高温で処理することになり、処理熱影響についての懸念があります。また、メッキ後に必要に応じて行われるベーキングや熱処理と呼ばれる工程での影響については精査する必要があります。これらのイメージがメッキは高温で処理するものというイメージ繋がっているのだと思います。
水溶液を使用したメッキでは100℃以下という温度でメッキ処理を施すため、金属材料にとって影響の無い温度でメッキ処理することができます。
メッキ処理では温度管理が非常に重要です。メッキ.comでは自動温度制御システムの導入により、センサーが常に液温を監視、徹底した温度管理を行っています。
材料とメッキ処理温度の影響について、詳しくはメッキ.comまでお問い合わせください。
電気メッキと無電解メッキは処理条件や品質、性能などのさまざまな面で各々特長があります。
それらの特長は電気メッキと無電解ニッケルメッキの良し悪しを一言で判断できるものではなく、製品の使用環境などさまざまな条件により、メリットになる場合やデメリットになる場合があります。

















