寸法公差とメッキ 注意しないと不良品になることも

機械加工はメッキ厚みによる寸法変化に注意して

メッキ処理を想定した製品設計及び機械加工では、メッキ厚みによる寸法変化をしっかりと公差に考慮しなければ、想定より大きくなってしまったり、小さくなってしまったりする場合がある為、注意が必要です。

製品図面では機械加工寸法及び公差が記載されており、メッキ膜厚が別途記載されていることもあります。一方で、メッキ加工済みの仕上がり寸法が記載されていることも多々あります。機械加工とメッキ加工は別業者や他部署で行われることが非常に多く、業者間や部署間で上手く連携することが出来なければ決められた公差内で仕上げることが困難になります。

例えば、仕上がり公差が±0.02の製品を製作する際、機械加工での公差が+0.018で製作されていると、メッキは0.002以内で収める必要があり、非常に困難な処理となります。また、メッキの種類や用途にもよりますが、あまり薄いメッキは耐食性を長期維持することができないなど、メッキの機能性を十分に発揮することができない可能性があります。

機械加工時にはメッキ厚みによる寸法変化を考慮して加工をして頂くことが必要になります。例えば、±0.00付近からマイナス目の公差で製作し、メッキ厚も公差内に収める。或いは、マイナス目の公差外れで製作し、メッキ処理後の仕上がり寸法で公差内に収めるなどの手法により製品を製作する必要があります。

いずれにしても、機械加工とメッキ加工での連携が非常に重要になります。

メッキの厚みは2倍の寸法で考える

寸法や公差を考える際に、メッキ厚みは基本的に2倍にして考える必要があります。(部分メッキなどでは例外あり)

どういうことかと言いますと、文字では表現が難しいので、下図をご覧ください。

基本的にメッキは母材に対して、表面全体(全周)に施されます。しかしながら、メッキの厚み(メッキ膜厚)は母材からの厚みで表現されることが多く、反対側のメッキ厚みも寸法や公差を考える際には加算する必要があります。

一方、孔あけ寸法や公差については逆にメッキ厚みの2倍孔が小さくなります。(※基本的に孔の中のメッキ膜厚は製品を破壊しないと測定することが出来ません。)

仕上がり寸法を図面公差内に収める為には、図面公差と機械加工公差の差分を半分にした寸法以下のメッキ厚みになるようにメッキ加工する必要があります。ですから、機械加工後の寸法公差に余裕がないとメッキ加工できなかったり、規格外による不良が発生してしまうことに繋がってしまいます。

まとめ

メッキ処理を想定した製品設計及び機械加工では、機械加工とメッキ加工を行う業者或いは部署間で十分に連携して製品製作する必要があります。メッキ厚みは寸法公差に2倍の影響を与え、公差に余裕がないと規格外による不良となってしまう恐れがあります。

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